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(1)開業スタイルの構想

開業形態の選択

<目次>
1.勤務先の地区で開業するか、パラシュート型か
2.テナント、戸建、建て貸し、定期借地権、医療ビル
3.介護サービスを併設するか
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一口に開業といってもその形態はさまざまです。多くの開業形態の中から先生に一番適した形態を選ぶことが開業に成功する重要なステップとなります。

ここでいう開業形態として次の3つの項目について検討します。
(開業形態の3項目)
1、立地(勤務先の地区で開業するか、パラシュート型か)
2、建物(テナント、戸建、建て貸し、定期借地権、医療ビル)
3、事業構成(介護サービスを併設するか)

1.勤務先の地区で開業するか、パラシュート型かまずは1番目の立地です。
立地を決める要因は大きく分けて2つあります。
患者さんがいるかどうかということと物件があるかどうかということです。

その中でも一番重要な要因は、患者さんがいるかどうかです。先生が勤務していらっしゃる病院の周りには、先生の患者さんが間違いなくいます。

開業に当たってある程度の数の患者さんが見込めるということはたいへん有利で心強いことです。先にお客様を確保して開業するということはどんな業種であっても成功する確率が非常に高い方法と言えます。

その意味で、勤務先の病院の近くに開業するというのは成功する開業パターンのひとつといえます。

この方法で注意すべき点は下記の2つです。
1、現在の勤務先の病院の患者を過大に当てにしないこと。
2、勤務先の病院と良好な関係を保って円満退職すること。

1については簡単に計算することができます。
例えば、先生の担当の患者さんが500人とします。そのうちの30%が新しい診療所へ来てくれるとしたら150人の患者さんが見込めます。
月1回の通院として150人÷22日=7人/日となります。
一日の必要患者数が30人とすると7÷30×100=20%となり、必要患者数の20%を確保できるという計算になります。
逆に言うと、必要患者数の80%は自力で確保する必要があるということです。

ゼロから集めるよりも楽といえば楽ですが、それだけで診療所の経営が成り立つというほど甘いものでもありません。

次に、2の円満退職です。
悪いうわさはすぐに広がります。元勤務先の病院との関係が悪いとそういううわさが流れて患者さんが集まりにくいということも考えられます。

また、スタッフを確保するに当たっても元勤務先の病院のスタッフをスカウトできれば非常に円滑に開業ができます。あるいは先生の患者さんを大きな病院に紹介する必要が起きた場合でも元勤務先との関係が良好であれば紹介もしやすいということになります。

円満に退職するためには、前号にも書きましたが独立の意向を早めに勤務先の病院に伝えておくことが重要です。後任の医師を確保するためには半年から1年の余裕がほしいところです。

以上の例は勤務先の病院の近くで開業する場合でしたが、勤務先の近くで開業できない場合は別の場所に開業物件を探す必要があります。

これはいわゆるパラシュート型の開業です。

勤務先の病院の近くに適当な物件がない、あるいはすでに土地を確保してある、住居と診療所を同じ場所にしたいなどの理由で、まったく新しい立地に開業する場合です。

この場合は、患者さんをゼロから集める必要があります。最初は口コミも期待できません。
一日も早く経営を軌道に乗せるためには開業時にある程度の広告宣伝費を見込んでおく必要があります。

パラシュート型の注意点は次の2点です。
1、物件ありきで物件にとらわれないこと。
2、診療圏調査をしっかりとやること。

一番注意しないといけないのは、すでに土地があるからといって安易に開業してしまうことです。診療所は患者さんに来ていただいて初めて経営が成り立ちます。偶然所有している土地の周辺に患者さんが多くいらっしゃるとは限りません。やはり診療所の開設で一番の元になる大切なことは診療圏調査です。

2.テナント、戸建、建て貸し、定期借地権、医療ビル
次は、開業形態の3項目のうち2番目の建物(物件)です。
建物の形態としては大きく分けて5つあります。テナント、戸建、建て貸し、定期借地権、医療ビルの5つです。

テナントというのは一般の事務所ビルあるいは商業施設にテナントとして入居する方法です。テナントの場合はほかの戸建、建て貸し、定期借地権などに比べて比較的開業費用は安くなります。
ただ、適当な貸しビルがあることが前提になります。

次に戸建での開業ですが、この場合に多いのは土地を自己で所有している場合や両親の土地を借りるという場合です。もちろん、土地を買って建てる場合もあります。ただ、土地を買う場合は開業費用が
大きくなります。

建て貸しとは入居者が希望する建物を地主さんが建てて貸すという方法です。この方法ですと開業費用も比較的少なく、自由に立地が選べ、建物も希望通りに建てられますので成功する確率も高くなると考えられます。
都会の真ん中で厳しい競争をしなくとも郊外で半径500メートル以内に1万人の人口があって同じ診療科の競合が3件くらいといった立地も探せばあります。

また、土地を売らずに有効利用したいという地主さんが割合多いので、開業希望の先生と建て貸しをしたい地主さんをマッチングさせる不動産業者さんもあります。
この場合は、前述したように建物を先生の希望通りに建てることも可能ですから、先生の夢の実現には適した方法と言えます。

次に、定期借地権ですが、これは土地を期限付きで借りて建物を立て、期限が来たら更地にして返すという方法です。最近はマンションなどでもこの方法で開発し、土地代が安い分だけ総額を安く販売しています。
この方法は制度ができてから間もないのでここでは詳しい説明は省きます。

次は、今注目を浴びている医療ビル(医療モール)です。
この方法は患者さんが集まりやすいため最近脚光を浴びてきています。
その理由としては、ひとつのビルに複数の診療科が入居することにより単独で出すよりも相乗効果が出て訴求力があることです。

また、レントゲンの共用ができたり、ほかの医院に来院された患者さんが先生の診療所にお見えになるということもあります。
医療モールの問題点は、立地が悪い場合入居者が少なく集客力が劣る場合があります。当初は5つの診療所が入居する予定が、最初は調剤薬局と先生の診療所だけといったケースもあるようです。

3.介護サービスを併設するか
次は、開業形態の3項目のうち、3番目の事業構成です。ここでは介護サービスの併設をするかどうかを検討します。

介護サービスの中でも訪問介護サービスの場合は患者さんの自宅を訪問してサービスを行うので建物や施設に対する投資は比較的少額ですみます。
ただし、患者さん宅を訪問するヘルパーさんのマネジメントを行うスタッフは必要です。

それに対して、通所系の場合は患者さんをデイケアやデイサービスのために受け入れる建物や施設への投資額が大きくなります。そのため、需要予測を綿密に行うマーケティングマネジメントが必要です。また、収入に直結する介護保険の改正動向には常に注意を払う必要があります。